ハイパーベンチレーション(過換気 Hyper Ventilation)|素潜りの知識

素潜りの際に、水中での息こらえ時間を長くする方法ですが、危険が伴います。

やり方は簡単です。潜る直前に、深く速い深呼吸を数回行うだけです。

ちなみに、陸上で試して見ると、すぐ体感できます。

単に息を大きく吸って息を止めた場合と、深く速い深呼吸を数回行ってから息を止めた場合とでは、

後者のほうが息こらえ時間はぐっと長くなります。

【 生理学的メカニズム 】

水中にしろ陸上にしろ、息を止めている間にも酸素は消費され二酸化酸素は増加してゆきます。

つまり、肺胞中の酸素分圧は減少しつづけ、二酸化炭素分圧は増加しつづけます。

やがて、二酸化炭素分圧がある一定値まで上がると、(生理学用語で、その限界値を「閾値(いきち)」と言います。)

閾値(いきち)に達すると、脳の呼吸中枢が刺激され、脳は呼吸再開の指令を出します。

通常はこの段階で、もうそれ以上息をこらえきれなくなって、呼吸を再開します。

水中であれば、浮上して呼吸を再開します。

ああ苦しかった、一息ついてまた潜ろうですむわけです。

しかし、ハイパーベンチレーションを行うとどうなるか?というと、

深く速い深呼吸を数回繰り返したために、肺の中の酸素分圧は若干上昇し、二酸化炭素分圧は減少します。

その状態で息を止めると、閾値に達するまでの時間が長くなります。よって、息が長くなります。

しかし、そうしている間にも酸素は消費され続けるので、先に脳の酸欠が生じやすくなります。

脳が酸欠状態に陥り、意識が朦朧(もうろう)となる状態を「ブラックアウト」といいます。

素潜りで、これをやるとなぜ怖いかというと、

水中に、ブラックアウト間際までいて、そろそろ限界と感じて浮上するとします。

浮上するにつれて、当然水圧は急激に低下してゆきます。並行して酸素分圧も急激に低下してゆきます。

結果、まだ大丈夫だという意識があっても、水面に達する前に突然ブラックアウトに陥ってしまう危険があります。

水中でのブラックアウトは、下手をすれば命取りです。

ちなみに、一旦ブラックアウトに陥ると、助かっても、意識障害や記憶喪失等の障害が残るケースも多いので

素もぐりでのハイパーベンチレーションは厳重注意です。

というよりも、決して行うべきではありません。

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